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藤井 直敬
エヌティティ出版
¥ 2,310
(2009-05-15)
Amazonランキング: 28760位

 脳科学はヒトを幸せにできるか。

 ここ数年、記憶や意思決定などの高次認知機能に関わる脳科学の進歩がスローダウンし、研究者の間に一種の閉塞感が広がっているという。一般人には知る由もない事実だが、本書はそんな閉塞感の前に立ち塞がる壁に挑もうとする現役の脳科学研究者による研究報告である。脳科学者の茂木健一郎氏と池谷裕二先生も絶賛ということで以前から読んでみたかった本。
第1章 脳科学の4つの壁
第2章 2頭のサルで壁に挑む
第3章 壁はきっと壊せる
第4章 仮想空間とヒト
第5章 ブレインマシン・インターフェイス(BMI)
第6章 つながる脳

 第1章では最先端の研究を続けている脳科学研究者なら誰もが抱えている問題として、脳科学が直面する4つの壁について議論する。(1)技術の壁(2)スケールの壁(3)こころの壁(4)社会の壁。そして第2章ではそれらの壁に2頭のサルで挑んだ実験の試行錯誤が報告されている。著者の研究テーマである「社会的脳機能」の定義とは、

自分のやりたいことを実現するために、社会という目に見えない構造を上手に操作し、さらにその場の空気にあった正しい振る舞いを選ぶための適応的な脳のはたらき

 であるが、これまで適応的機能(環境に応じて自分自身の行動を最適化する能力)や個体間相互作用(自他の行動がそれぞれの行動に相互に影響を与えること)という再現不可能な環境を前提とした研究はなされていなかったとのことである。そして私が印象に残ったのは数値化できない研究者としての誠実な姿勢だろうか。ヒトの「賢さ」を知的機能ではなく「生命維持のための特定の適応能力の高さ」と定義した場合において、

賢さとは本来、何かをどれくらい知っているかというような静的な能力のことではなく、どれくらい多様な状況に対応して一瞬で自分を変えることができるかという動的な能力の高さ

 にあると論じている部分。こういった考え方は研究者の枠を超えて、ヒトとしての気骨さえ感じるし、何ら脳科学に精通していない私でも心から共感できた。そういった意味で本書は脳科学を紹介するその他の一般向け書籍とは趣を異にするリアリティがあり、研究の最前線を垣間見ることができる。

アーカイブは東京大学・知の構造化センター「pingpong project(ピンポンプロジェクト)」2日目。
unconferenceでの藤井直敬氏による特別セッションの様子。(2010年10月31日(日)pingpongワークショップ)



 昨今の脳科学ブームでは科学的に曖昧な知見でも浅薄な脚色によってそれが真実のように報道されるが、一般人としてはそれが科学なのか、似非科学なのか、あるいはトンデモ科学なのかを判断するのは難しい。例えば「ゲーム脳」がそうだ。現在では「ゲーム脳」自体が科学的根拠の乏しい似非科学だとされているが、その言葉にインパクトがあったせいで、いまだにそれを信じている人が少なくないこと伝えている。

 その点、本書は脚色することなく事実をありのままに伝える貴重な本である。特に2頭のサルを用いた社会性脳機能の実験は非常に興味深かった。

 ところで、蜜を見つけて巣に帰ってきたハチが、その蜜のありかをクルクルと8の字に動き回ることで、自分の周りのハチに伝えるというミツバチの8の字ダンス。8の字の真ん中の軸が巣箱と太陽を結んだ線との相対的な方向を、そして踊る速さが距離を表してるのだそうです。つまり、ダンスを見ている周りのハチは「太陽を右手に見ながら45度の方角で距離500メートル」というような情報をデコードできるということのようですが、ふと、我が家の愛犬が私が帰宅する直前に玄関で決まってお出迎えしてくれるのにも何かしらの神経メカニズムがあるのではないか?と思うのです。それはない?世の中不思議だらけ。



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藤井直敬氏のお話を伺う催し物が今週末あります。
ご都合つきましたらぜひ、ご参加下さい。

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弊社では様々な分野の方から、これからを生きる知恵を学ぶ場として立ち上げたプロジェクト「Knowledge Garden ナレッジ・ガーデン」。日本デザイン振興会さんと共催で、デザインハブ(東京ミッドタウン内)を拠点にレクチャーやWSなどを開催しています。

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今回は、「社会脳」という脳の機能を研究されている藤井直敬氏と、観客を作品の中に巻き込む公演を行う、アート・パフォーマンスグループ「GRINDER-MAN」代表のタグチヒトシ氏を講師にお招きします。
ナレッジ・ガーデンでは、「ソーシャル」ということを基本テーマの一つとし、これから私たちがどのように社会と関わり、どんな社会を作っていくのか考えたいと思っておりますが、今回はそのテーマに「脳科学」と「身体パフォーマンス」の視点からアプローチします。

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Knowledge Garden ナレッジ・ガーデンvol.3
「”ソーシャル・ブレインズ" - 関係性の中での脳機能」
講師:藤井直敬(理化学研究所脳科学総合研究センター)+タグチヒトシ(アートパフォーマンスグループ「GRINDER-MAN」代表)

2011年10月15日(木) 開場:13:30
レクチャー+パフォーマンス:14:00〜16:30

◎パフォーマンス出演:GRINDER-MAN

会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内
http://www.liaison-center.net/?page_id=725
参加費:2,000円(ドリンク付)

詳細
http://www.epiphanyworks.net/first_knowledgegarden3.html

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エピファニーワークス
http://www.epiphanyworks.net/
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Shuko Yamashita

企業再生支援会社の社長。(某上場企業の元M&A担当役員、関連会社の取締役副社長、取締役執行役員)76年生まれ、蟹座、O型、上智大学経済卒、バツイチ。
趣味は読書(多読・精読派)、犬の散歩、ミュージカル、歌舞伎、落語、トレイルランニング。認知神経科学と宇宙にハマるミドルサーティです。ワインはナパバレー産!好きな言葉は崖っぷち。でも崖っぷちが好きってわけじゃないけど。
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